獺祭(だっさい)

 名古屋駅に隣接するデパートの地下食料品売場へ寄ったついでに日本酒売場の棚を眺めておりましたら、あるお酒が目に留まりました。それは山口県岩国市の蔵元が製造した『獺祭 純米大吟醸 磨き2割3分』という名のお酒です。一般的に大吟醸とは、米の外側を50%以上削ったものを原料としているのですが、この獺祭(磨き2割3分)は、米粒の77%を削り取って中心の23%だけを使って造られたお酒なのでした。ここまで精米した原料を使っている日本酒は見たことが無く、一体どんな味がするのか興味があったので、値段はちょっと高かったのですが買ってみました。

 通常、大吟醸酒はフルーティーな風味が特徴で、悪く言えば「甘ったるくて重い」ものが多いように思いますが、この獺祭は芳醇でありながら甘ったるくなく、サラリとした口当たりでキレがあり、つい「もう一杯!」と思わせる美味しさがありました。名前は「ダサい」ですが風味はかなりイケてます ^^;)

 ちなみに「獺祭」とは晩唐の詩人・李商隠が、読書をする際書籍を部屋中に広げて読んで詩文を書いたスタイルが、獺(かわうそ)が獲物を並べる様子に似ていることから生まれた言葉だそうです。また正岡子規は自らを獺祭書屋主人と称し、このことから子規の命日である9月19日を獺祭忌と呼ぶこともあるのだそうです。