タケノコ

 近所に住む親類が、知り合いから分けてもらったというタケノコを持ってきてくれました。毎年持ってきてくれるのですが、今年のタケノコは早く収穫したので例年よりも小さめということでした。何故、小さいうちに収穫しなければならなかったかというと、十分な大きさに育つまでおいておくと盗まれてしまうからだそうです。その親類の知り合いは竹薮を所有しているのですが、毎年タケノコが食べごろの大きさに育つ頃には誰かが掘り起こして持っていってしまうのだそうです。そのことを聞いたある老人が「私がボランティアで見張っていてあげますから安心しでください」かなんか言って監視役を買って出たものの、結局その老人自身がタケノコを掘り起こして自分の親戚に配っていたとか。こんなこともあって今年は早めに収穫せざるを得ないのでした。

 タケノコを盗んでいく人たちというのは一体どんな人なんだろうか。その竹薮が誰かの所有物であるという意識が無く、例えば山の中に自生している松茸を穫るような感覚であり、実質的には窃盗という犯罪行為なのですが、罪の認識は希薄なのかもしれません。
 そもそもタケノコなんて盗んでまで食べたいものなのかな。確かに旬の味わいが感じられる食材ではありますが、私としては『たけのこの里』ならいざしらず、タケノコは調理する際の下準備も面倒そうだし、何がなんでも食べなきゃ気が済まないというものではありません。一度、盗んでいく人たちにその心境をインタビューしてみたい気がします。