カマキリ

 洗面所で歯を磨いていると洗面台の縁に動く小さなモノがありました。何だろうと思って顔を近づけてよく見ると、カマキリの子供(赤ちゃん?)でした。庭から取って花瓶に入れてある紫陽花にでもくっついてきたものと思われます。私の小指の爪の先ほどの大きさですが、成虫と同じ形をしていて、私が指を近づけるとグワっと鎌手を持ち上げて戦闘ポーズをとったのには驚きました。カマキリは大きくなってから戦う方法を身に付けるのではなく、産まれたばかりの小さなうちから既にデフォルトとして備わっているのだあと感心してしまいました。
 なあんてことを考えながら歯を磨いたり顔を洗って、さきほどのカマキリの子供をふと見ると、私が知らないうちに飛ばしてしまったであろう石鹸の泡に包まれてもがいていました。「しまった!どうしよう!?」と思っていろいろ考えたのですがあまりに小さいので助け出すことも出来ず、狼狽えているうちにやがて小さなカマキリは動かなくなってしまいました。わざとではないとはいえ、申し訳ないことをしてしまったと深く反省したしだいでございました。