コレステロール

 健康診断でほぼ唯一、基準値から外れることがあるのがコレステロール値で、人間ドック学会が定めた基準値を少し上回ることがあります。私の場合、これは生活習慣によるものではなく遺伝的なもののようで、家族の中にも決して太っているわけでもなくむしろ痩せ過ぎなのに同様の結果が出る者が複数おります。昔ですと、コレステロール値が高いとすぐに卵などの食品を避けるような風潮がありましたが、体内のコレステロールのうち食事由来のものは全体の2割程度で、食事から摂る量が少なければ体内で合成する量が増え、トータルではある一定の量が保たれるようになっていることが知られるようになると、食事についてはあまりうるさく言われなくなったように思います。むしろ、卵や肉などを避けることによってタンパク質が不足することの方が大きな問題のようです。

 コレステロール(特にLDL)が最も問題となるのは、酸化によって構造が変化したコレステロールを「異物」だと認識したマクロファージがそれを除去しようとして飲みこみ、やがてそれらが血管の内壁に付着・堆積して動脈硬化や狭窄が起こることであります。従って、酸化が促進されるような要因(喫煙など)が無ければ、それほど心配することは無いと考えています。そもそも、遺伝的にコレステロール値が高いことが大問題であるならば、そんな家系はとっくに途絶えていてもよさそうなものなのにそうなっていないのは、やはり心配することは無いのでしょう。

 それに、日本におけるコレステロールの基準値というのは、諸外国に比べると低く設定されています。この基準値を決めている学会に対して、コレステロールを下げる薬を販売している製薬会社が金銭的なサポートをしており、少しでも薬が売れるように低めに設定されているとも噂されています。この基準値については、現行のものよりも緩くなることが検討され、来年から適用されるようです。それによって私のコレステロール値が晴れて「正常」とされる日が来ることを願っています。