『エターナル・サンシャイン』

エターナル・サンシャイン [DVD]

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 暫く前に、オススメの映画を紹介する伊集院のラジオ番組で、あるゲストが取り上げていた『エターナル・サンシャイン』という作品を観てみました。関係がこじれてしまったあるカップルの女性の方が、自分の脳の中から相手の記憶を消し去る処置を専門のクリニックで受けていたことを知ってショックを受けた男性が自分も同じ処置を受け、それでも二人は再び出会って、だけどもなかなかうまくいかず・・・、というお話。時系列が途中で入れ替わったりして混乱してしまいそうになりますが、ポイントとなるアイテムが散りばめられていて伏線が張ってあるので話の流れをフォロー出来るようになっています。

 「脳の中にある相手の記憶を消去する処置」なんていうものが登場するので、未来の社会を描いたSFかと最初は混乱しますが、それ以外はいたって普通の現代社会が背景となっています。ひとつだけSF的な要素を取り入れることによって話に広がりが生まれるので、面白い手法だと思いました。

 これはアメリカ映画で、舞台はアメリカ、話されている言葉は英語なのですが、監督はフランス人であるため、ハリウッド映画とは異なるテイストに仕上がっています。ハリウッド映画の場合は、最終的には無理矢理にでもハッピーエンドになったり、正義が勝ったりして終わるようになっていますが、そこはやはりフランス的な映画の特徴なのか、この作品の場合は観終えた後に若干の不完全燃焼感が残ります。でも、その気持ちと向き合って自分なりに思考してみるのもまんざらでもなく、そういった「余白」というか、「解釈の余地」が残されているのはフランスやヨーロッパの映画の良いところなのでしょう。

 主演はジム・キャリーなのですが、彼の得意技であるドタバタしたコミカルな演技はこの作品では封印されていて、恋人との関係に苦悩する男性を見事に演じきっているところも見所のひとつと言えましょう。