特殊な職業

 内田樹先生の本を読んでおりましたら、新卒の就職活動について語っている部分がありました。新卒の就職に関する情報は、大都市の大きな企業に偏っていますが、規模は小さくても世の中で必要とされる職業はたくさんあると仰っておられました。その「小さくても世の中で必要とされる職業」のひとつの例として挙げられていたのが、兜の修理でした。兜の金属部分は特に劣化しませんが、金属を繋いでいる紐とか糸とか、あるいは刺繍等は時間とともに痛んでくるので修理が必要となります。しかし、この修理を行う技術者の後継者がいなくて困っているのが現状のようです。兜の修理代というのは、なんと1億円で、修理期間は10年とのこと。高度な専門技術が必要とされる職業で、一人前になるには相応の苦労があるのでしょうが、1件受注すれば10年間で1億円の収入が確保されるわけで、ライバルも少ない分野ですし、なかなかイイ仕事ではないかと思いました。新卒者の就職先としてはかなり特殊な職業で、「小さくても世の中で必要とされる職業」の例として適当かどうかはいささか疑問ですが、いろんな仕事があるもんだなあと驚きました。