日本の神グルメ

 若い頃に読んだ本の中には、日本という国や日本人を否定するような論調のものも少なからずありました。世界中のいろんな国を訪れた人、例えば椎名誠さんとか村上龍さんがエッセイの中で「だから日本はダメなんだ」みたいなことを書いているのを読むと何故だか妙に溜飲が下がる思いがしたものでした。ところが年齢とともに考え方が段々と保守的な方へとシフトしていきました。きっかけとなった本とか影響を及ぼされた人物は特に無いので、人というのは加齢とともに考え方が保守的になるものなのかもしれません。そんなふうですから、ユーチューブでも日本に住む外国人が日本という国、日本人、日本の食べ物等々を手放しで賞賛する動画を観ては幸せな気分になったりする今日この頃です。ユーチューブにはそういう外国人の動画が溢れていますが、これが書籍となると、まだそこまでたくさんあるわけではないのを少し残念に思っていたところ、先月発売された『イタリア人マッシがぶっとんだ日本の神グルメ』という本に出会いました。著者は日本在住15年のイタリア人、マッシミリアーノ・スガイさん。このマッシさんがとにかく日本の食べ物、特にスイーツを片っ端から賞賛しまくるという内容の本です。食べ物という点において日本とイタリアを比較したら、そりゃイタリアの方が凄いに決まっているのは当然で、日本がイタリアに食文化で勝てるわけがない、と思っていたのですが、この本を読んで考え方が180度変わってしまいました。日本の食の素晴らしさを再発見できたとともに、そういう環境に住んでいる自分は幸せなんだなとしみじみ感じました。