フィルムカメラ

 2〜3年前だったか、若い人たちの間でフィルムカメラが密かなブームだという噂を耳にしました。しかし、それを聞いた時には俄には信じられませんでした。フィルカメラで撮った写真は、現像してプリントするという工程があるため、特急で仕上げても1時間、普通は翌日渡しが多くて、「フィルムを預けに行く」と「出来上がった写真を受け取りに行く」の2回も写真屋へ足を運ばねばなりませんでした。しかしデジカメ時代になって、そういった煩わしさから解放され、撮ったその場で仕上がりを確認し、トリミングしたり画質の調整をすることが可能な便利な世の中になりました。せっかく便利になったのに、なぜ時代に逆行するようなことが若い人たちに受け入れられるのか、理解に苦しみました。それに関する記事が日経電子版(および夕刊)に掲載されていました。記事によると、かつてのフィルムカメラを知らないデジタルネイティブにとってはフィルムカメラの不便さが新鮮に感じられるのと、フィルムカメラで撮った写真の画像が粗い感じもまた彼らにとっては面白く感じるのだとか。その感覚は個人的にはやはり理解し難いのですが、かつてのレコード(LPとか)がこの時代にまた売れるようになっていることと通底しているように感じます。フィルムカメラが改めて受け入れられるようになったという流れを受け、一度はカメラ事業から撤退したリコーが「ペンタックス」ブランドで再参入の検討を開始したそうです。こういったカメラ業界の動きが今後どうなっていくのかとても興味があります。