砂肝

 会社の帰りにセブンに寄りました。焼き魚が1切れ入っていて、レンジで1分ほど温めるだけの商品は父と母が好きなので時々買っていきます。この商品はスーパーには置いてなくてセブン(あるいはファミマ)でしか売っていません。いつもですと、スーパーでも売っている物(牛乳とかパンとか)はスーパーで買って、セブンにしか無いものはセブンで買っているのですが、今回はめんどくさかったので全部セブンで買うことにしました。店内をぐるっと回って必要なものをカゴに放り込むとレジに向かいました。他の多くのコンビニと同様、この店のレジも外国人でした。どこの出身かは分かりません。中国人ではないのは明らかで、フィリピン人っぽくもないし、少し中東系の血が入っていそうなエキゾチックな雰囲気の若い(おそらく20代半ばの)女性でした。この女性は確か今年の春ぐらいからこのセブンで見かけるようになりました。私はだいたい週に2回ぐらいはこの店で買い物をしていて、その時にレジにいるのはほぼ毎回この女性なので、計算してみるとこの半年で50回ほど顔をあわせていることになります。勿論、だからと言って親しくなるわけではなく、私が発する言葉は「レジ袋ください」と「ありがとうございます」の2つで、彼女は「温めますか?」、「ありがとうございました」と言うぐらいです。今回もこれまでと同じ言葉が機械的に交わされるものだと思っていたら、その女性店員はカゴに入った『砂肝』を取り出しながら「これは鶏肉ですか?」と私に訊いてきました。そんなことを訊かれるとは全く思っておらず、突然のことでしたので狼狽てしまいました。彼女が生まれ育った国ではきっと、肉は食べても内臓系を食べる習慣が無くて、砂肝なんていう部位は知らないのでしょう。それは砂肝と言って、鳥の消化器官の一部で、食べたものを擦り潰すために分厚い筋肉でできていて、コリコリして噛みごたえがあるんです、とか言おうかと思ったのですが、モツ系について説明し出すと、話はどんどんグロテスクになっていって気持ち悪いと思われかねないので、「そうです、鶏肉です。」と、全くもって素っ気ない言葉を返して、二人の会話はそこで敢え無く終了。彼女の中で私のことはきっと「砂肝男」として今後記憶されていくのかもしれません。砂肝だけは別の店舗で買うようにしようかな。