通院付き添い

 母を連れて病院へ行きました。父の場合と同様、タクシーを使いました。マイカーで行くと駐車場が空いているか分からないし、たとえ空いていたとしても車を降りてから病院の玄関までの距離を歩くのは母の脚ではかなり無理があるので。いつものように正面玄関の真ん前でタクシーを降り、そこに置いてある院内用の車椅子に母を乗せて進みました。ちゃんと予約時刻の15分ほど前に受付を済ませましたが、結局そこから45分近く待たされました。ただ、母は待たされることに不平不満を言うことも無く、穏やかに座って待っていてくれるのはありがたいです。

 診察が終わり、玄関前のタクシー乗り場へ行きました。いつもはそこにタクシーが待機しているのですが、今日は1台もいません。しかも、私たちの前には1人の女性がタクシーを待っているところでした。次のタクシーにはその女性が乗り、その次のタクシーが来るのに何分ぐらい待たねばならないのだろうか・・・、スマホでタクシーを呼ぼうか、それともこのまま待っていた方が結局早いのだろうか・・・と考えていると、その女性がこちらを見て「タクシーですか?どうぞ先に乗ってください。」と言って私たちに順番を譲ってくださいました。私に支えられながらヨボヨボと歩いてきた母の姿を見て気の毒に思ったのでしょう。私は申し訳ないと思いながらも、やはり母を立った状態で待たせておく時間が少しでも短くなるのはありがたいので、感謝して譲ってもらいました。しかもその女性は、近くにいると私達が気まずさを感じるだろうとでも思ってくださったのか、玄関の内側にあるソファの方へ行ってしまいました。これにも私は感謝すると同時に、もし私が逆の立場だったら、ここまで見ず知らずの人に思いやりのある行動を取ることができるだろうか、と深く反省し、ここで受けた優しさを別の場所で、別の形で、その時に困っている誰かに向けて惜しみなく差し出したいと思ったのでした。