素人探偵物

 『7月のダークライド』という翻訳小説を読みました。主人公の20代前半の男性が、ある役所でたまたま見かけた2人の幼い子供に虐待を受けたであろう跡を偶然発見し、そこから物語はとんでもない方向へ発展していきます。警察官でもなければ、プロの探偵でもない若者が事件を追っていく、というパターンの小説は日本ではそれほど多くはないのですが、海外だと割とたくさんあります。たくさんあるけれど、素人が探偵ごっこをするわけですから、普段はプロの腕ききの殺し屋が登場して銃弾が飛び交う小説を読み慣れている私にとっては物足りなさを感じることが多いのでした。この『7月のダークライド』もそんな感じなのかな、とあまり期待せずに読み出したら、意外と楽しめました。主人公を取り巻く複数の登場人物たちのこともそれぞれ魅力的に書き分けられていて、そのあたりも読んでいて飽きない理由でした。この作者の作品を読んだのは今回が初めてで、他にもミステリー小説が出ているようなので、そちらも是非読んでみたいです。