子供の頃の読書体験の影響

 幼い子供の頃、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を読みました。幼稚園児でしたので、絵本バージョンの『蜘蛛の糸』で、その絵のタッチや色合いは今でも覚えています。それを読んで以来、蜘蛛を殺すことができなくなり、今でもできません。一方、小学生になったばかりの頃、学研の「科学」と「学習」という子供向けの月刊誌に載っていた読み物の中に次のようなものがありました。文房具がキャラクターになったストーリーで、その中で消しゴムがはじめのうちは大事にされていたのが、使っていって段々と小さくなると見向きもされなくなりました。ある日、消しゴムが机の上から床に転げ落ちて家具の間に挟まってしまったのですが探し出されることは無く、消しゴムのキャラクターが涙を流して泣いているのでした。その場面が小学1年生の私の心に刺さり、それ以来、消しゴムは大切に使うようになり、大人になってからも会社でも、消しゴムが小指の先ほどの大きさになろうと、それが割れて更に小さくなっても捨てずに最後まで使うようになりました。「三つ子の魂百まで」と言いますが、幼い頃の体験はその後の人生に大きな影響を及ぼすのだなとあらためて感じたのでした。