再読

人間失格 (新潮文庫)

人間失格 (新潮文庫)

 お笑いコンビ「ピース」の又吉さんが太宰治の大ファンらしいということを知りました。本を読むきっかけを作ってくれたのが太宰治であり、また桜桃忌(太宰治の命日)に「太宰ナイト」というトークイベントを開催するほどの傾倒ぶりとのこと。そういった話を耳にして、私も何やら興味が湧いてきたので、太宰治の本を読んでみることにしました。初めて太宰の作品を読んだのは高校生の時で、確か国語の授業の課題で『人間失格』や『斜陽』を読んで感想文を書いたと思うのですが内容は全く覚えていませんでしたので、取り敢えずもう一度『人間失格』を読むことにしました。
 太宰治の作品は「大好き」か「大嫌い」かの両極端に分かれるらしいのですが、私はこの作品を読む限り「あんまり好きではない」と感じました。小説のテクニック的な側面は別として、ここで描かれている世界があまりにも陰鬱で希望が無く、読み進むに従ってどんどん気分が滅入ってくるからです。
 但し、『人間失格』は太宰が自殺する直前に書いたものであり、解説者(奥野健男氏)によれば「太宰治の作品としては、もっとも、そっけない書き方で書かれている。読者を意識し、懸命にサービス、奉仕につとめていた、それまでの作品とは明らかに違う。(新潮文庫人間失格』p.175より抜粋)」とのことなので、それ以外の作品を読めば、また違った感想を持つのかもしれません。暫く時間をおいてから、別の作品も読んでみようかと思います。