格闘術

 「クラヴマガ」という接近戦用の格闘術があります。この格闘術は20世紀前半にイスラエル軍によって考案され、その後、アメリカをはじめとする多くの国の軍隊や警察等で採用され、実戦を経ることにより更に洗練されていきました。
 とは言え、軍や警察と関係の無い一般の人にとっては無縁の存在でした。その状況が一変するきっかけとなったのがマット・デイモン主演の『ボーン・アイデンティティー』というアクション映画でした。この映画の中の随所に出てくる格闘シーンでクラヴマガの力強くてスピード感がある華麗さを目にし、アクション映画ファンはシビれてしまったのでありました。
 これまでのアクション映画の系譜において、古くは『ダーティ・ハリー』シリーズのクリント・イーストウッドや、その後だとシュワルツェネッガーやスタローンなんかも、「ただ力まかせにブン殴る」だけだったのに、『ボーン・アイデンティティ』のマット・デイモンの洗練された格闘術は衝撃的でした。

 その後、この格闘術に対する関心が高まり、一般の人を対象としたレッスン教室が日本でも開催されるようになりました。但し、本来のクラヴマガの中心にある「敵の息の根を止める」という部分は省いて、あくまで護身術として、あるいはダイエット等を目的としたエクササイズとして教えられています。
 クラヴマガジャパンという団体がクラブマガを学べるスタジオを運営しており、名古屋にもあります。週1回のレッスンで料金は月額1万円(週2回、もしくはそれ以上のコースもあるようです)。習ってみたいなぁという気が少しありますが、ただでさえマラソンの練習時間の確保が難しいので、更に習い事を始めるのは無理がありそうです。

 護身術を身に付ける必要性を強く感じているわけではありませんが、気になるのが、例えば電車の中で痴漢と間違われて冤罪となる事態。絶対にやってなくても、「この人が私の体を触りました!」と言われると、よほど信用性の高い目撃証言が無いと無実を証明するのは相当困難らしいです。電車の乗務員や駅員に「ちょっと一緒に来てください」と言われて連れていかれたが最後、ほぼ確実に有罪判決となってしまうのだそうです。そうならないためには、とにかく逃げるしかない。周りの乗客や駅係員に取り押さえられそうになったら、それらを振り切って逃げるのが冤罪で人生を狂わされないための唯一の手段かもしれません。そういう時にクラブマガという術を身に付けていたら役に立つかも ^^;)

↓ 参考までに『ボーン・アイデンティティー』の中のワンシーン。クラヴマガが出てくるのは最初の15〜30秒ぐらいですけど。