お節料理

 お正月休みが明けて1週間が経ちました。会社の昼休みに食堂で昼ごはんを食べている時に他の人と話していたら、お節料理の話になりました。ある人が、年末から年始にかけて嫁の実家で過ごしたのだが、お節料理は一切出てこなかった、と言いました。すると「うちもそうだった」と賛同する人もいて、今はそういう家庭が多いと知り少し驚きました。私が子供の頃は、お節料理のうちの何品かは自宅で作って、それ以外は、例えば、きんとんは出来上がった物をお店で買ってきて、カマボコは買ってきた物を包丁で自分で切って、というようにして各パーツを揃えていく家庭がほとんどのようでした。そしていつしか、自分では一切調理しないで全品が詰め合わされた物をデパートなどに注文する家庭が、初めのうちは少数派でしたが段々と増えていきました。そして今は、おせち料理そのものを食べない家庭が増えつつあるようです。確かに、他に美味しいものがいっぱいあるのに、どうして冷たくて美味しくもないお節料理なんかを食べなきゃいけないんだ、ということなのでしょう。かく言う私も、今年はお節料理を全く口にしませんでした。お雑煮も食べませんでした。お餅は、浅間大社の境内できな粉餅を食べだけ。それ以外にお正月らしい物は何も食べていません。例えばアメリカですと、感謝祭やクリスマスには七面鳥の丸焼きなどの料理を食べますが、これは「普段よりも豪華で美味しいもの」だから継承されていくのでしょう。日本のお節料理は美味しさよりも縁起物であることがポイントなのですが、現代においては「縁起」という概念そのものが消えつつあり、従ってプライオリティが低いですし、そもそもお節料理はお正月ぐらいは家庭の主婦を料理を作るという作業から解放してあげる意味合いもありますが、これとて、24時間コンビニで食べ物を買えたり、スマホで簡単にデリバリーの注文が出来る現在のような便利な時代には存在理由としては弱い。こうやってお節料理という食文化が段々と消えていき「昔はお正月にお節料理ってのを食べていたんだって」と言われるようになるのかもしれません。