ボキャブラリー

 この歳になっても、日々、それまで知らなかった言葉に遭遇します。最近知った言葉は次のようなものがあります。

【ホワイエ:劇場やホールなどの入り口から観客席までの広い通路。通常はロビーの意味で使われる。】 先日の講演会の前に主催者側から届いたメールの中の注意事項に、感染防止のためホワイエでのおしゃべりは控えてください、みたいなことが書かれていました。ロビーと同じ意味ならロビーと書けば良いような気がします。こういう注意事項というのは読んでパッと理解できる言葉の方が適しているだろうに。ただ、ホワイエの意味をわざわざスマホで調べたため印象に残り、その注意事項をより強く意識するようになったという効果はありましたが。

【バーガンディカラー:ワインレッド。バーガンディとはフランス語の「ブルゴーニュ」の英名。】 ブルゴーニュと言えばワインの産地なので、バーガンディ色とは即ちワインレッド。これもワインレッドと書けば良さそうな気がしますが、小説の中の一節に出てきた言葉で、ワインレッドなどという使い古された言葉を使って陳腐な表現になることを避けるために敢えてバーガンディカラーという言葉を選んだのかもしれません。

【デペイズマン:異なった環境に置くことを意味するフランス語。シュルレアリズムの手法のひとつ。日常から切り離した意外な組み合わせをすることによって受け手に衝撃を与える。】 これはあるラジオ番組で小説家をゲストとして迎えた回の中に出てきました。小説を創作するひとつの手段として、現実にはあり得ない組み合わせからストーリーを展開していくという意味で使われていました。

【疾風に勁草を知る(しっぷうにけいそうをしる):激しい風が吹いてはじめて丈夫な草が見分けられることから、苦難や試練に直面したときにはじめてその人の節操の堅さや意志の強さが分かるという意味。】 これはネット番組を観ていたらある著名人の話しの中に出てきました。その人は作家でもあるので、こういう故事が割と頻繁に使われます。

 

 知らない言葉が出てきたらすぐに調べるようにしています。面倒ではありますが、たったひとつの言葉であっても、新しく自分の知識に加わるのは嬉しくて楽しいものです。それが実生活の中でどう役に立つのか、もしかしたらこの先の人生で一度も使う機会が無いかもしれませんが、役に立つがどうかではなく、新しい言葉の意味を知ること自体に喜びを感じます。