『瓶のなかの旅』

 開高健の『瓶のなかの旅』というエッセイ集を読みました。副題に「酒と煙草エッセイ傑作選」とあり、酒と煙草について綴ったエッセイを集めたものでした。書き下ろしではなく、いろんなところに散らばっていた「酒」あるいは「煙草」に関するエピソードを引っ張ってきたものなので、内容的に重複しているものも結構ありました。本を1冊書き上げるごとに記念としてパイプを買っている、という話などは3〜4回出てきました。「ああ、またその話か・・・」とややうんざりはするものの、パイプに関する記述はとても多くて、読んでいるうちに私もパイプに興味が湧いてきました。私は煙草を吸ったことは一度も無くて、そんな百害あって一利なしの煙草などというものを、健康に対する意識が高い私が吸うはずはなく、喫煙によって肺の機能が低下したら走ることにも悪影響が出るのは間違いないから、絶対に吸わない、と思いつつも、開高健がパイプで煙草を吸うことについて語っているのを読むと、とても素敵なことに思えてきて、吸ってみたくもなってしまいます。