ある解約

 金銭的に、何となく毎月支払ってきたものを見直して、本当に必要なもの以外は解約してしまおう、という取り組みを暫く前から行っていました。何から手を付けようかと考えてまず最初に思い浮かんだのはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)への寄付でした。UNHCRとは、難民を救済する活動を行っている国連の機関です。この機関と私の出会いは、もうかなり前のある夏の暑い日でした。名古屋の街中を歩いていると、炎天下の中で若者が道行く人々にUNHCRへの寄付を呼びかけていました。しかし立ち止まってその若者の声に耳を傾ける人はおらず、皆足早に通り過ぎていくだけでした。それを見た私はその若者がひどく気の毒に思え、情に絆される形で寄付を申し込みました。その場限りの寄付ではなく、毎月一定額がクレジットカードから支払われる形にしました。当時、UNHCRがどんな機関なのか詳しいことは知らなかったのですが、国連の機関なら悪いことにはならないだろうぐらいに考えていました。UNHCRの日本事務所から年に何回かニュースレターみたいなものが送られてきて、活動内容が具体的に書かれていました。

 しかし、自分が行っている毎月の寄付なんて大した金額ではないので、本当に役に立っているとは思えなくなっていきました。そして国連自体が実は名ばかりで、特に韓国のパン・ギムン氏が先代の事務総長だった頃に自分の立場を利用して韓国人ばかりを国連の主要なポストに登用し、本当に優秀な人材がこれに呆れてどんどん国連を辞めていっている、という情報を得て、国連に対する不信感が私の中で次第に大きくなっていき、毎月寄付をするのがバカらしくなってきました。

 そんな思いから、ついに寄付を解約する手続きを行い、ああこれでスッキリしたと思っていた矢先、ロシアがウクライナに侵攻して、多くの人々が難民となる事態となりました。当然、こういう状況ではUNHCRも難民を助ける活動をしていることでしょう。しまったなぁ、こんなことなら寄付の解約なんてするんじゃなかった、と後悔した次第です。