アール・ブリュット

アール・ブリュット」という言葉を知ったのはそんなに前ではありません。うちの会社のデザイン担当部署から「今回のこの商品のパッケージには、アール・ブリュットデザインが採用されています」というようなお知らせが社内メールで届いているのを読んで初めて知った言葉でした。「アール・ブリュット」とは「生の芸術」を意味するフランス語で、その解釈は人によって様々ですが、「正規の美術教育を受けていない人による芸術」、「既存の美術潮流に影響されない表現」というのが本来の意味のようです。最近できた言葉ではなくて、フランス人画家のジャン・デビュッフェによって1945年に提唱されました。ここでデビュッフェは「文化的処女性」と「純粋な独創性」を重視し、それによりそれまで芸術という枠組の中には入らなかった表現が芸術として扱われるようになりました。この概念は「アウトサイダー・アート」としてアメリカにも普及しました。しかし日本では、本来は幅広い意味を持つアール・ブリュットという言葉が障害者の芸術表現、障害者によって創られた作品、という意味に限定されてしまっているようです。海外から伝わった言葉が本来の意味と全く同じではなく、その概念の一部であったり、時には大きく異なる意味になってしまうことも珍しくありませんが、この言葉の普及によって障害者の方々の活躍の場が少しでも広がるのであれば、それでも良いと思うし、うちの会社の商品パッケージへの利用が今後も継続されていくことを願っております。