翻訳ミステリー

 『ブラッドシュガー』、即ち「血糖」という変わったタイトルの翻訳ミステリーが何となく面白そうだったので読んでみました。米国の名門大学を優秀な成績で卒業して臨床心理士となった主人公の女性ルビーの周りでは不審な形で亡くなった人が過去に3人もいました。一度に3人亡くなったわけではなく、最初は5歳の時に、次がティーンエイジャーの時に、3人目は臨床心理士になってからでした。4人目が亡くなったところで殺人課の刑事に目をつけられ、さまざまな証拠や証人を揃えられて絶体絶命のピンチに陥るのだけれど・・・、というストーリーです。タイトルの「ブラッドシュガー」は4人目に亡くなった男性に関係してくるだけで、他の3人には全く関係無し。全体を貫くテーマになっているのかと思って読み始めたのでしたが肩透かしでした。暫く前に読んだ『インフルエンサーの原罪』のように主人公の内面の描写に多くのページが割かれているのですが、それがやや冗長に感じられました。終盤になって、その冗長さを脱して急展開を見せ、そのあたりから面白さがグッと増していく感じです。