父の気質

 午前中は父が退院するのを迎えに病院へいきました。平日ですと車でいっぱいの駐車場ですが、外来診察の無い日はガラガラに空いていて、私と同じく退院のお迎えに来ているであろう人の車が数台並んでいる程度でした。

 いつも利用する正面玄関は閉まっているので、時間外用の出入口へ回っていき、守衛さんに来院目的を告げて中へ入れてもらい、更にコロナ感染防止対策関係の問診票を記入してから父が居る階へエレベーターで上がっていきました。約束した時刻の7分前に病棟のラウンジに到着。暫くすると、ラウンジへ通じる通路から父の大きな声が聞こえてきました。見ると、父が看護師さんに付き添われて病室からこちらへ歩いてくるところでした。私が既に到着していることには気が付いていないようで、看護師さんに私へ電話するように大声で言っていました。待ち合わせの時刻が過ぎているわけではないのに、電話するよう指示するなんて、まったく、いつもの「父ぶり」が全開で、やれやれと思いました。待ち合わせの時刻が基準なのではなく、自分が来た時が基準となり、そこから遅れたら即「催促の電話をする対象」となるのでしょう。しかも、携帯電話を持っているなら自分で電話すればいいのに、看護師さんに「電話しろ」と指示するのは、一体どんな思考回路をしているんだろうか。あと、通路で大声で話すのは他の病室の患者さんに迷惑になるということも頭に無いみたい。入院中もこの調子で看護師さんに余計な負担をかけたり迷惑をかけて煩わせていたであろうことは想像に難くありません。やれやれ。

 父は6人兄妹。父が一番上で、男は父ひとりなので、子供の頃は随分と甘やかされて育ったことは想像に難くありません。たとえそうであっても、社会人となって揉まれていくうちに「社会人としての常識・マナー」というものを身に付けていくものなのですが、父の場合は自分の父(私の祖父)が創業した会社に入ったので、そりゃあ周囲の人達も気を使うことでしょうから、そこでも甘やかされて、父の気質は修正されるどころか益々助長されて現在に至っているというわけなのでしょう。馬鹿な小学生がそのまま老人になったようで、もうそれが正常になる可能性は間違いなくゼロであると思うと、軽い絶望感を抱かずにはいられません。