タクシーの中で

 有給休暇を取って父の通院に付き添いました。朝8時前に予約しておいたタクシーが自宅前に来たので乗り込むと、まず目についたのが助手席の後ろ側のポケットに入っている物体でした。その物体は500mlのペットボトルよりも少し太いぐらいの大きさの筒状の形をしており、上面の中央に開いた穴から間欠的に白い煙が出ておりました。加湿器だということはすぐに分かりました。電源はシガーソケットのようです。タクシーが走り出して暫くすると運転手さんがその加湿器を設置した経緯について語り出しました。それによると、コロナウイルスは湿度が高い環境では感染力が弱まるから、2年前に自腹で購入して車内に設置したとのこと。コロナ対策でしたが、春先の花粉症の症状も軽くなったと言っていました。加湿器から出ているミスト状の水蒸気を見て「おい、なんか燃えとるぞ!」と言ってくるお客さんもいるのだとか。

 その後も運転手さんの話は続き、コロナが外食関係の職種に及ぼした影響について語り始めました。それによると、例えば岐阜グランドホテルのような岐阜市内では最も格式の高いホテルでも、コロナが流行り出して客数がガクンと減った際にはホテル内のレストランの料理人をやむを得ず解雇しました。今年になってやっと徐々に客足が戻ってきて、さあレストランを本格的に再開しようとしたのですが、料理人達は既に他の職業に就いてしまっていて、レストランに戻ってきてくれる人が少なく、客は増えたのに料理人が不足しているために料理が出せない状態なのだとか。

 運転手さんの話は更に続いて、今度は道路を走る自転車に関する法律が厳しくなったことについて語り出したのですが、その件についてはいずれまた別の機会に。